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隠岐國学習センター通信 Blog

2018年6月の記事

澤×長谷川の対談!~はたけClubの活動から見えてきたこととは~

 

 

 「はたけClub」は、隠岐國学習センターと隠岐島前高校の男子寮「三燈」が運営する課外ゼミです。海士町東地区にある畑の一画を地域の方からお借りし、「地域に開かれた場」となることを大切にしながら活動しています。現在は、高校生チームと大人チームとで畑を半分ずつ耕作し、それぞれのやり方で野菜を育て、学んでいます。

 

 

 はたけClubが始まった1年前、休耕地だった畑をお借りして開墾することからスタートしました。女性の背丈ほどの草が生い茂る草むらだった畑を、地域の方々の協力を得ながら少しずつ耕しました。地道な作業に苦労しつつ、学びとのつながりを意識しながら理想の畑の姿を探究してきました。2年目をむかえるはたけClubをどのように創っていくのか。1年間はたけClubを見守ってきた、隠岐國学習センターの澤さん・長谷川さんの2人の対談から「未来の種」を探っていきます。

 

―1年間「はたけ」を続けるなかで起きた変化―

 

澤「早速だけど、『はたけ』をやり続ける中でどんな変化があったの?」

 

長谷川「農業が楽しいと思って、願わくば起業したいと思いました。」

 

澤:「すごいね!」

 

 

長谷川:「種から野菜を育てるなかで学びの要素を感じ、『自分でも生産できるんだな』『高校生が実際に野菜を育て・売るということができるのだから、大人にもできるのでは』と思って。今まさに新しい働き方を模索していることもあり、この地域で塾のスタッフとして働きながら、複業的な働き方をしてみたいという発想に至りました。」

 

澤:「将来的に自分の職業にしたいという楽しさから、ワクワク感が出てきたんだ。」

 

長谷川「そうですね。」

 

澤「きっかけは何かあるの?」

 

長谷川「やはり学びの要素がないとその発想に至らないと思います。隠岐國学習センターとして『学びの畑』であること、『学ばないところから学ぶ』ということを大事にしています。あくまで今の職業と結びついた延長線上に畑があります。やりたいのは農業×学び×地域活性ですかね。」

 

澤「直接のきっかけがあったと言うよりは、農業×農業×地域活性を考えるなかでアイデアが出てきたのかな?」

 

長谷川「でも、やっぱぼんさん*の存在ですかね。いい人だったなって。」

 

 

澤「いい人だったよね。やっぱり最初の師匠との出会いは大きいよね。」

 

澤「ぼんさんはどんな人だった?」

 

長谷川「『指導者』という感じはしなかったですね。あくまで補助輪的な役割で、生徒にアドバイスをしたり、道具を貸してくれたりして、指導者らしいことを意図的にやっていなかったんじゃないかな。」

 

澤「今は島外で活動されているけど、SNSで見る彼の活躍は、僕らにいい刺激を与えているよね。」

 

長谷川「本当にそうですよね。」

 

―生徒の学び―

 

澤「生徒にとってはどうかな?『はたけ』をすることでの効果はある?」

 

長谷川「ありますね。学校の授業で『はたけ』について考えたり、将来的には部活動にしたいという声も聞いたりしていて、だんだんと学校ともつながってきたと感じています。大人たちから働きかけたわけではなく、生徒たちが自分の『はたけ』を良くしたいという想いで動いていて、この1年での成長が著しいし、効果はあったと思います。」

 

澤「学習センターの夢ゼミでも、おいしい野菜を作りたいと言っている生徒がいて。一方では『持続可能な社会を作りたい』とか『世界中から飢餓をなくしたい』という意識があって、そこがどうつながるのか。自分の実体験と社会の課題や目指すべき方向を結びつけることへのリアリティをすごく感じたよね。」

 

―これからの展望―

 

 

長谷川「今は展望というものがハッキリとは見えていないです。でも、他の団体の取り組みを学んだりするなかで何かが見えてくるんじゃないかと思っています。ただひとつ今言えることは、『質』を上げていきたい。今ある畑をよりおもしろく魅力的にして海士町内に広げていきたくて、そのためにも質を上げることが必要だと思います。良い野菜が採れるということだけじゃなく、地域の人が集まるとか、学びの環境があるとか、今後の探究テーマですね。」

 

澤「なるほどね。『はたけ』を見てて思うのは、『ないものはない』なんだよね。」

 

長谷川「うん、たしかに。自由に水を撒けないし、肥料もどうしようかという状況にも陥りましたね…。」

 

澤「一方で人の縁とか、助けてくれる人の存在があって、あるものはあるんだよね。人の助けを借りて道具を借りたりとか、地域の人からその土地の知恵をいただいたりとか、『はたけ』がネットワークになっている。そして『作る』というもう一つの要素があって、それをみんなでないものからあるものにして、ひとつの商品として価値を作っていくことで、海士町の掲げる『ないものはない』精神を体感できるよね。活動を通じて、一人ひとりの身体に精神が血肉化されていくのが感じられて、すごくおもしろい。」

 

澤「そして、精神を学べるという点では、いわゆるコンテンツ化された学びのように毎回が設計されたものじゃなく、自発性をもった学び、『あれがやりたい』『こうしよう』というものが雪だるま式に増えていくことがすごいおもしろくて、これこそが教育かもしれないと思うことがたくさんあるよね。」

 

長谷川「たとえば野菜育てるときも、結局は目の前の課題を解決することが求められるけど、そのためには先を見越して逆算的に何をしなきゃいけないか考えないといけないですし、この思考やプロセスは『はたけ』で身につきますよね。」

 

澤「うんうん。『逆算的な考えを身につけましょう』みたいな教育上の目的があるんじゃなくて、自分たちがより良い野菜をつくるためにはそれを知らないと前に進めないっていう、自然と学ぶ意欲みたいのが出てきて、それで結局課題解決の力がついたりするよね。」

 

長谷川「1年目の失敗が活きてきているな、と改めて感じますね。」

 

澤「まさに失敗から学ぶだね。そしてその失敗を許容してくれる、地域の懐の深さもすごく大切。」

 

長谷川「あの荒れ果てた様子や、出来の悪い野菜たちを見て、地域の人が何か言いたくなる気持ちがすごく分かりますよ。でもそこで協力してくださるとこがすごい。」

 

長谷川「澤さんの展望は何ですか?」

 

澤「ポテンシャルを実感できたから、例えば離島・中山間地域にある学校の人たちに畑×学びの価値を少しずつ伝えていきたいし、他の団体ともコラボしながらやっていきたいな。最近、農業について書かれた新聞記事を集めるようになって、全国の取り組みを見る中で、今やっていることの可能性をすごく感じるよね。」

 

*ぼんさん(石川法泰さん:愛称は「ぼんさん」。日本農業経営大学校を卒業後、農業×教育の可能性を探るため海士町に移住。2018年1月に地元の愛知県に戻り「teranova-てらのば-」の屋号で農業に携わる。)

4月からの学習センターの様子をご報告します!(インターン村上)

 

初めまして、今年度4月より長期インターン生として活動させて頂いている村上朋映です。

私は茨城県出身で、現在宇都宮大学国際学部4年生を1年間休学しています。

 

島全体を学びの場とする海士町の教育のあり方や、学習センターにおける夢ゼミなどの取り組みに関心を抱き、また、今後のキャリアとして地元茨城県の教育のあり方を変えていきたいという思いが生まれ、そのヒントを沢山吸収すべくこの海士町に来ました。

 

期間は今年度4月から2月までという短い期間ですが、どうぞよろしくお願い致します!

 

さて、6月に入り、ジメジメした日が続く季節となりました。隠岐神社では蛍が飛び交い始たという声も聞こえ始め、夏の訪れを感じます。

 

学習センターでは新たに教務スタッフ1名(倉恒)、インターン2名(ロドリゲス、村上)を迎え、4月より新スタートをきってから早一ヶ月が立ちました。

 

まずは遅ればせながら4月の学習センターの様子を報告させて頂きます。

 

4/11(水)には、新入塾生ガイダンスが行われました。前半はスタッフ紹介や、学習センターについての説明が行われ、後半はグループに別れて新2年生による相談会が開かれました。

前半のスタッフ紹介では、学習センターのスタッフひとりひとりが簡単に自己紹介をしました。みな個性的な自己紹介で生徒からは笑いも起こり、改めて魅力的なスタッフが揃っているなと私自身も感じる機会となりました。

 

後半においては、2年生の生徒たちが大活躍でした。

 

新入生の緊張を解きほぐしつつ、学習センターのことから学校生活のこと、勉強の仕方など幅広い質問に丁寧に答えます。

見ていてスタッフのサポートが全く必要ないほど、二年生は自分のグループ内を上手く回しており、どのグループも会話が絶えることなく、新入生の不安を解消するとても有意義な時間を作り上げていました。

去年からいるスタッフからは、「先輩らしい姿は頼もしく、かっこよく見えた」といった声も。

 

振り返りの時間では、今後は前半に行われた学習センターの説明もスタッフではなく自分たち生徒がやってみたいといった声も2年生から挙がりました。

どうやったら、新入生にとって良いガイダンスとなるかを主体的に考える2年生の姿に、改めて島前高校の生徒の主体性の高さを感じます。

 

 

 

4/23(月)2年生の夢ゼミが、それぞれのゼミに分かれていよいよスタートしました。

 

今年度は、表現ゼミ、福祉ゼミ、五感開放ゼミ、グローバルin島前、ARVRゼミ、知夫探求ゼミ、そして生徒たちのオリジナルゼミに分かれています。

2年夢ゼミは、例年同様学習センター外の方にも講師としてお招きしてゼミが行われています。今年度も色々なフィールドで活躍されている方々をどんどん巻き込んで、学びあふれる活発なゼミ活動が行われことに期待です!

 

それぞれのゼミに分かれて初めての授業であるこの日は、それぞれのゼミがこれからどんなことをしたいかを出し合ったり、今後のスケジュールを立てたり・・・。

 

表現ゼミでは早速テーマを決めて絵や色を使って表現していました。

昨年度はそれぞれのゼミが別々の部屋で活動していましたが、今年度はあえて同じ空間の中で進めていく形をとってみることに。

 

するとゼミを超えたやりとりが生まれ、他のゼミからヒントを貰っている姿が印象的でした。

 

より活動の幅が広がっていきそうな感じで、今後の取り組みが楽しみです!

 

GW明けからは中間テスト前ということで、学習センターもテストシフトに入りました。授業はなく、生徒はそれぞれが自分で自習形態を選んでテスト勉強に励みます。

個人で黙々と学習を進める生徒もいれば、お互いに学び合いをしながら学習をする生徒も。

眠気と戦いながら勉強に励む生徒の姿はなんだか自分の高校時代を思い出し、懐かしさを感じました。

 

さて、今週からは期末テスト期間に入ります。

1年生は4月当初の顔と比べると緊張がなくなり、学習センターの活用にも慣れてきたような様子。2年生はどこか先輩らしく頼もしい顔つきに、そして3年生は進路選択を控えてどこか不安を抱えつつも、目の前のやるべきことに集中しているような様子です。

 

今年度もスタッフ一同気を引き締めて、生徒の学びのサポートに励んでいきます!

 

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