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ピザ窯づくり奮闘記③

 ピザ窯づくり奮闘記第3弾。今回はピザ窯をつくる作業についてです。

 予想以上に準備に時間がかかり、テンポよく作り上げなければなりませんでした。そのため、地ならし、基礎づくり、窯の土台づくり、窯のドームづくり、と作業工程を分解し、日ごとにやることを決めていきました。 

 

―地ならしという名の、草刈りー

 ピザ窯をつくる場所を、学習センター裏の空き地に決定しました。ただそこは、軽い傾斜があり、夏は雑草が生い茂る場所。基礎を築くための地ならしで発生する作業は、①草を刈る、②傾斜を削り水平な地面をつくる、と大きく分けられます。

 まずは草刈り。町内の友人から草刈り機をお借りし、空き地で猛威を振るう雑草を倒していきます。

 

 刈り終えた草を一ヶ所に集め、表層の砂利をどかします。その後スコップを使って傾斜を削り、目分量で水平にしていきました。この作業、草の量が相当あり、地面が砂利であることも相まって神経を使う作業で、草刈りが地ならしの労力のほとんどを占めています。ただこの草刈り、ピザ窯をつくる上で必要な作業である以前に、学習センターの敷地を管理・維持するために必要な作業であったため、結果的に塾のスタッフから感謝されることに。ピザ窯の維持のためにも、塾の管理・維持のためにも、これからは定期的に草刈りしようと思ったのでした。

 

 

 ー正解が分からない、基礎づくりー

 ある程度均した土地にピザ窯を建てる寸法を記し、そこを10㎝ほど掘ります。

 この穴に砂利を敷き詰め、その上に水気の少ないモルタルを流し込みます。基礎というだけあって、この作業が上にできるピザ窯の運命を左右するだけあって、失敗ができません。参考にしている本や、インターネットから情報をかき集め、導き出したやり方なので、おそらく問題はないのですが、ほんとうにこのモルタルが固まって基礎になるのか、疑心暗鬼になりながらの作業でした。どのくらいの水の分量で、どのくらいの量のモルタルを流し込めばいいのか、正解が分からないことが不安な気持ちを誘発しています。結果から申し上げると、何の問題もなく翌日には固まっていました。全くあの心配は何だったのかと思い返せば笑えてきます。同時に、セメントと砂と水を混ぜただけのモルタルがカチカチに固まる、この化学反応が不思議で、とても興味深いものでもありました。

 

 -初の左官作業、ピザ窯土台づくりー

 基礎が完成したので、いよいよ窯づくりです。あまマーレさんから頂いた巨大なU字溝を薪を燃やす窯として活用します。

 大人6人がかりで持ち上げ、それを上下に重ねます。持ち上げる隙に、すかさずモルタルをコテで塗り接着させます。接着させたら忘れず水平をとり、狂いのない土台をつくりました。

 必死の思いで重ねた土台。このU字溝の脇をコンクリートブロックで固め、土台の強度とピザを焼くドームの面積を確保します。ブロックも重ねる一つ一つにモルタルを塗っていき、U字溝の上端と同じ高さにくるまで積み重ねました。

 これらU字溝とコンクリートブロックの上に、焼き台となる耐火レンガを重ねます。モルタルを塗り、レンガを重ねては水平を取る作業を繰り返します。

 これでようやく土台の完成です。あとはドームをつくる作業です。全体の進捗度で表すと70%が完了した状態です。なんとか予定期間内に終わる道筋が見えてきました。

 

 

続きのドームづくりは次回の奮闘記でご紹介します。実際につくる作業は、汗を流し力を使う作業ではあるものの、今までの持っている知識を使いながら、新たな興味や発見が生まれる、とてもクリエイティブで頭を使う時間でありました。「やるからには美しく完璧に」。職人魂ではありませんが、どことなくそんな感情が湧き出してきました。ピザ窯への愛情かもしれません。

 ピザ窯づくり奮闘記④へ、つづく。

ピザ窯づくり奮闘記②

こんにちは、インターンのロドリゲスです。

 ピザ窯づくりの記録「ピザ窯づくり奮闘記」第2弾です。材料収集、資金繰り、そして最後にはっと気づかされた近隣の方々との付き合い方、つくり始めるまでが盛りだくさんのピザ窯プロジェクト。その一部始終をどうぞ。

 

 ーないものはない、ならどうする?ー

 動き出したピザ窯づくりプロジェクト。当然ながら、ピザ窯をつくったことはありませんから、1から調べ、どのような形のピザ窯だといいのか情報を収集しました。その情報をもとに理想のピザ窯をスケッチします。

 

 できるだけ材料を少なく抑えて、それでもおいしく焼ける窯はつくれないか。島にホームセンターはないので、必要な物は島外から取り寄せなければなりません。窯づくりで使うレンガ類はひとつひとつが重いため、輸送費もその分高くなってしまいます。限られた条件の中でいかに効率のいい窯をつくれるか、やったことのない製図(もどき)をして必要な材料と費用を算出しました。

 

レンガ約30個、コンクリートブロック20個、セメントや砂など20袋近く、それに必要な道具も合わせると、予算が10万円近くかかります。頭を抱えました。とても決起会だけで賄える金額ではありません。悩んだ末、でてきた方法がpolcaを利用して資金を集めることでした。

 

 

 ーはじめてのpolca、果たして受け入れられるのかー

 フレンドファンディングと呼ばれるpolca。クラウドファンディングに比べ、気軽に始められ気軽に支援できると話題で、私自身、以前から注目していました。気軽にといいますが、このピザ窯のプロジェクト、懸ける想いは軽くないので、お金がこれで集まらなかったら相当なショックを受けます。その不安と闘いながら、企画を投稿しました。

 

 1か月後、企画の終了時に集まったお金は、目標の倍近く。安堵感が少しで、使命感がほとんどを占めていました。支援していただいた方に、ピザ窯への私の想いがどう実現されていくのか、見届けてほしい、そのためまずはずっと使い続けられる窯をつくらねばと思い、つくる作業に取り掛かります。

 

 

 ー忘れちゃいけない、煙の行方ー

 材料購入のめぼしも付き、次なるはどこに窯をつくるかです。学習センター内のどこにあると、このピザ窯が活きるのか、スタッフ同士協議しました。そこで学習センターの裏、駐輪場の奥がいいのではないかと話が進みました。

学習センターは公立塾のため土地を管理する役場に、その旨を確認します。すると返ってきた答えは、「つくるのはいいが、煙が心配だ。」とのこと。煙のことはすっかり抜けていました。「地域に開かれた学習センター」を実現するためのピザ窯なのに、ピザ窯から出る煙で近隣の方々に迷惑をかけるようでは、元も子もありません。

改めて、煙が拡散しにくい場所、煙の出にくい構造、そして煙を出さない火のつけ方など、つくる過程から動かす過程まですべてににおいて、煙への配慮が必要であることに気づかされました。

 

 後日、学習センターの近隣のお宅にピザ窯をつくろうとしている旨を伝えにあいさつに行き、煙には細心の注意を払うことをお伝えしました。近隣の方々にもご理解をいただきながら、少しずつ、でも確実に、ピザ窯づくりが進んで行きます。

 

 

     ーついに、ピザ窯づくりへー

 2ヶ月近いピザ窯づくりの準備が終わり、タイミングもよく材料も届きました。さあ、ついに作り始める時がきました。

 

 ピザ窯づくり奮闘記③へ、つづく。

ピザ窯づくり奮闘記①

こんにちは、インターンのロドリゲスです。

 ピザ窯づくりの記録「ピザ窯づくり奮闘記」第一弾です。今回はピザ窯をつくることになった、きっかけをご紹介します。

 

 ーことの始まりー

 今年の5月中ごろでした。毎年高校3年生を対象に行っている「決起会」の企画会議でのことです。高校3年生に対し、夏期講習のリフレッシュとこれから受験モード突入というリスタートを位置付けた、気持ちの切り替えをする会が「決起会」です。例年、港のそばの船小屋を借りてBBQをするのですが、意外とBBQの準備に労力を使うことと、学習センターで実施できないことから、今年は別の何かをできないかと話し合うことになりました。

 会議中、何をやりたいか、アイデア出しをしている時に出てきたのが「ピザパーティー」です。せっかくならピザ窯からつくっておいしいピザを食べようと提案したところ、「それおもしろい!やろう!」とまさかの反応。いきなりピザ窯をつくる”流れ”が。一旦、ピザパーティーをピザ窯づくりからやる場合のことを企画書としてまとめて、後日改めて決めることになりました。

 

 

 ーまさかのスタートー

 企画書を書き上げないといけません。今の私を突き動かすものは「おいしいピザを食べたい」という気持ちだけ。正直、本当にピザ窯をつくれるとは思っていませんでした。それでも、決起会をする上での大事な”仕事”なので、とりあえず企画書の文言を考えます。

 なぜピザ窯が塾に必要なのか、ピザ窯があることで塾にどんないい影響をもたらすのか、ピザ窯づくりの目的を明確にすることから始めます。出てくる言葉は、「生徒との思い出づくり」、「ピザ窯で地域と交流できる開かれた学習センターづくり」とそれっぽいのですが、ありきたりで、気持ちが乗った言葉が出てきません。

 

 

 ー必要ないから、必要ー

 もやもやが解消されない6月。完全に梅雨のせいです。「おいしいピザを食べたい」この気持ちを揺るぎないものにするだけの、気持ちの乗った”目的”を探し求めている最中、学習センターのスタッフが全員集まって、今の塾のあり方を考える時間がありました。今年度から塾の授業の体制を変え、自立学習、夢ゼミともに変化が激しく、スタッフも消耗気味。一度立ち止まって、本当に今のあり方が学習センターに合っているのか、学習センターの目指すあり方とは何か2日かけて考える時間でした。

 その2日間を経て感じたことがありました。完璧な答えなんて分かりっこない、ということです。

 新年度、学習センターでは様々な変化がありました。そして私自身も変化があり、その中でどんどん消耗していました。どんな学習センターを目指すのか、本当に人それぞれの想いがあります。学習をひとつ例にしても、生徒にとって最適な学びは何か、それをどう塾で提供しサポートするか、生徒の数だけその答えがあり、そのたび最適が変わります。最適化された学びが大切なのはすごく分かるのですが、必要なことだけ学ぶのが正しいのか疑問に思います。まず必要な学びって何なのか。塾でできる必要な学びって?もう混乱状態です。ただ直感的に、変数が多すぎるからこそ、必要・必要でないをすぐに判断してしまうのは望ましくないなと感じました。

 

 そしてふとピザ窯が脳裏をよぎります。「なぜピザ窯が塾に必要か」なんて考えても分かりっこなくないか?と。開き直りのように思われるかもしれませんが、私としては決心がついた瞬間でした。「必要ないから、必要」なんだ。このピザ窯が来年、5年後、いやいつかどこかで必要になるかもしれない。今だけで判断しない、この観点を大事にできる学習センターは、きっと生徒の最適な学びを粘り強くサポートできる、1人勝手に熱くそう確信したのでした。

 

 

 ー動き出したプロジェクトー

 その想いを企画書に乗せ、学習センター内でつくろうと決定しました。どんなピザ窯にしたいかイメージをスケッチし、あとは材料を集めて形にするだけ、、、

 といきたいところでしたが、そんなスムーズには行かないのでした…。ピザ窯づくりの資金問題、そして煙の問題、これらを解決せねばつくる過程には進めないことが発覚したのでした。

 

ピザ窯づくり奮闘記②へ、つづく

\おそうじイベント開催しました/

こんにちは。学習センター教務スタッフの倉恒です。

3連休の初日、9/14(土)に土間でイベントを開催しました!

アクリルたわしとはたきをみんなで手づくりし、いつもより念入りに大掃除!

予想以上にアクリルたわしづくりに時間がかかりましたが、みんなでゆっくりお話ができて、とても良い時間でした♪

 

今回イベントを行ったのは、学習センターに入ってすぐの「土間」というスペースです。

ここはフリースペースで、どなたでもお使いいただけるのですが、「少し入りづらいなぁ~」という話をよく伺います。塾ですので生徒以外は入りづらくて当然ですよね。

でも、もしもここがちょうど汽水域のように、地域と高校がすっかりと混ざり合う場所であったら、もっともっとおもしろい学びの瞬間に出会えるのでは…

そんな思いから、この下半期、少しでも土間を入りやすいスペースにするために、イベントや講座、図書館本のテーマ展示などを行っていきたいと思っています!

イベントでなくても、お友だちとゆっくりお茶したいとき、集中して作業がしたいときなど、ご自由に土間をお使いください!イベントを開催したい!というご相談もお受けいたします!

 

学習センターにピザ窯ができました!

こんにちは、早稲田大学社会科学部を休学しています、大学生インターンのロドリゲスです。超長期インターンとして2年目の今年も隠岐國学習センターで働いています。

 

 久しくこの学習センターブログの更新がされておりませんでした。現在の学習センターがどのような様子なのか、スタッフ目線で少しずつ発信していきたいと思います。

 

 さて、タイトル通り、この夏学習センターにピザ窯をつくりました。かなり本格的なピザ窯で、ドームの中で焼きあがるピザはお店で見たことのあるピザそのもの。

 

 

 まさか本格的ピザを塾で食べられるとは、つくった私自身夢にも思っていませんでした。ピザ窯づくりにご協力いただいたみなさんに、この場を借りて感謝を申し上げるとともに、これを持ってひとまずのピザ窯完成報告といたします。

 

 そして、ピザ窯をつくり、完成させるまでの過程を、当ブログを利用し数回に分け「ピザ窯づくり奮闘記」と題し公開しようと思います。なぜピザ窯を学習センターにつくったのか、そもそもの始まりから、実際につくる様子まで、詳しく記録します。ぜひご覧ください。

 

 最後になりますが、このピザ窯づくりは、つくって終わりの企画にはしたくないです。ピザ窯という塾にとってある種の「異質」をどう包み込み、そこからどう「学び」に変えていくか、向き合い続けてほしい、そう願いをこめてつくりました。

 

 「ここにピザ窯があります。これを使ってあなたとあなたの周りの人を笑顔にするために、あなたは何をしますか?」

 

 私なりの、向き合い続けるための問いです。この問いが全てではなく、関わる人の数だけ問いがあります。そして、問いに答えるのは私であり、塾のスタッフであり、ピザ窯を使うみなさんであると思っています。

 

 おいしく悩めるピザ、一緒に探し求めませんか?

高校3年生 じぶん夢ゼミ、まもなく発表会。(倉恒)

 

「夢ゼミ」とは何か。

 

4月から学習センターに勤務し始めて約3か月。新米の私が常に考え続けた問だ。

 

 

隠岐國学習センターで開講している「夢ゼミ」。言葉で説明してしまえば『じぶんと社会・地域との重なりを探り、それを夢として育てていく授業』だけれど。

 

「なんで夢ゼミ”に出なくちゃいけないんですか。その時間受験勉強がしたいです」

 

そう言われると、はっきりとした答えを返すことができない私がいた。

 

 

そもそも「夢」とは何か。

 

漢字辞典で引くと、「はっきりしないもの」「目」「夜」という意味を合わせて作った文字らしい。

 

日本では、睡眠時に見る「夢」を意味する漢字を、将来の希望である「夢」にあてているのだろう。

 

そう考えるとするなら。

 

「夢」とは、まどろみながらうっすらと見るあの「夢」のように、確かに存在はしているが、何者かもわからず、輪郭もゆらゆらとして、はっきりしないものなのではなかろうか。

 

「夢」がはっきりとした瞬間にそれは「夢」ではなくなるのかもしれない。

 

 

はっきりとしないものをただひたすらに探究し続ける「夢ゼミ」。

 

私にとっては、「夢ゼミ」とは何かと考え続けることが、まさに「夢ゼミ」なのかもしれない。

 

 

もうすぐ3年生の「じぶん夢ゼミ」が終わるらしい。

 

高校生ががむしゃらに探究しつづけた「夢ゼミ」の最終発表。

 

高校生の等身大の「夢」をともに味わってみませんか。

 

澤×長谷川の対談!~はたけClubの活動から見えてきたこととは~

 

 

 「はたけClub」は、隠岐國学習センターと隠岐島前高校の男子寮「三燈」が運営する課外ゼミです。海士町東地区にある畑の一画を地域の方からお借りし、「地域に開かれた場」となることを大切にしながら活動しています。現在は、高校生チームと大人チームとで畑を半分ずつ耕作し、それぞれのやり方で野菜を育て、学んでいます。

 

 

 はたけClubが始まった1年前、休耕地だった畑をお借りして開墾することからスタートしました。女性の背丈ほどの草が生い茂る草むらだった畑を、地域の方々の協力を得ながら少しずつ耕しました。地道な作業に苦労しつつ、学びとのつながりを意識しながら理想の畑の姿を探究してきました。2年目をむかえるはたけClubをどのように創っていくのか。1年間はたけClubを見守ってきた、隠岐國学習センターの澤さん・長谷川さんの2人の対談から「未来の種」を探っていきます。

 

―1年間「はたけ」を続けるなかで起きた変化―

 

澤「早速だけど、『はたけ』をやり続ける中でどんな変化があったの?」

 

長谷川「農業が楽しいと思って、願わくば起業したいと思いました。」

 

澤:「すごいね!」

 

 

長谷川:「種から野菜を育てるなかで学びの要素を感じ、『自分でも生産できるんだな』『高校生が実際に野菜を育て・売るということができるのだから、大人にもできるのでは』と思って。今まさに新しい働き方を模索していることもあり、この地域で塾のスタッフとして働きながら、複業的な働き方をしてみたいという発想に至りました。」

 

澤:「将来的に自分の職業にしたいという楽しさから、ワクワク感が出てきたんだ。」

 

長谷川「そうですね。」

 

澤「きっかけは何かあるの?」

 

長谷川「やはり学びの要素がないとその発想に至らないと思います。隠岐國学習センターとして『学びの畑』であること、『学ばないところから学ぶ』ということを大事にしています。あくまで今の職業と結びついた延長線上に畑があります。やりたいのは農業×学び×地域活性ですかね。」

 

澤「直接のきっかけがあったと言うよりは、農業×農業×地域活性を考えるなかでアイデアが出てきたのかな?」

 

長谷川「でも、やっぱぼんさん*の存在ですかね。いい人だったなって。」

 

 

澤「いい人だったよね。やっぱり最初の師匠との出会いは大きいよね。」

 

澤「ぼんさんはどんな人だった?」

 

長谷川「『指導者』という感じはしなかったですね。あくまで補助輪的な役割で、生徒にアドバイスをしたり、道具を貸してくれたりして、指導者らしいことを意図的にやっていなかったんじゃないかな。」

 

澤「今は島外で活動されているけど、SNSで見る彼の活躍は、僕らにいい刺激を与えているよね。」

 

長谷川「本当にそうですよね。」

 

―生徒の学び―

 

澤「生徒にとってはどうかな?『はたけ』をすることでの効果はある?」

 

長谷川「ありますね。学校の授業で『はたけ』について考えたり、将来的には部活動にしたいという声も聞いたりしていて、だんだんと学校ともつながってきたと感じています。大人たちから働きかけたわけではなく、生徒たちが自分の『はたけ』を良くしたいという想いで動いていて、この1年での成長が著しいし、効果はあったと思います。」

 

澤「学習センターの夢ゼミでも、おいしい野菜を作りたいと言っている生徒がいて。一方では『持続可能な社会を作りたい』とか『世界中から飢餓をなくしたい』という意識があって、そこがどうつながるのか。自分の実体験と社会の課題や目指すべき方向を結びつけることへのリアリティをすごく感じたよね。」

 

―これからの展望―

 

 

長谷川「今は展望というものがハッキリとは見えていないです。でも、他の団体の取り組みを学んだりするなかで何かが見えてくるんじゃないかと思っています。ただひとつ今言えることは、『質』を上げていきたい。今ある畑をよりおもしろく魅力的にして海士町内に広げていきたくて、そのためにも質を上げることが必要だと思います。良い野菜が採れるということだけじゃなく、地域の人が集まるとか、学びの環境があるとか、今後の探究テーマですね。」

 

澤「なるほどね。『はたけ』を見てて思うのは、『ないものはない』なんだよね。」

 

長谷川「うん、たしかに。自由に水を撒けないし、肥料もどうしようかという状況にも陥りましたね…。」

 

澤「一方で人の縁とか、助けてくれる人の存在があって、あるものはあるんだよね。人の助けを借りて道具を借りたりとか、地域の人からその土地の知恵をいただいたりとか、『はたけ』がネットワークになっている。そして『作る』というもう一つの要素があって、それをみんなでないものからあるものにして、ひとつの商品として価値を作っていくことで、海士町の掲げる『ないものはない』精神を体感できるよね。活動を通じて、一人ひとりの身体に精神が血肉化されていくのが感じられて、すごくおもしろい。」

 

澤「そして、精神を学べるという点では、いわゆるコンテンツ化された学びのように毎回が設計されたものじゃなく、自発性をもった学び、『あれがやりたい』『こうしよう』というものが雪だるま式に増えていくことがすごいおもしろくて、これこそが教育かもしれないと思うことがたくさんあるよね。」

 

長谷川「たとえば野菜育てるときも、結局は目の前の課題を解決することが求められるけど、そのためには先を見越して逆算的に何をしなきゃいけないか考えないといけないですし、この思考やプロセスは『はたけ』で身につきますよね。」

 

澤「うんうん。『逆算的な考えを身につけましょう』みたいな教育上の目的があるんじゃなくて、自分たちがより良い野菜をつくるためにはそれを知らないと前に進めないっていう、自然と学ぶ意欲みたいのが出てきて、それで結局課題解決の力がついたりするよね。」

 

長谷川「1年目の失敗が活きてきているな、と改めて感じますね。」

 

澤「まさに失敗から学ぶだね。そしてその失敗を許容してくれる、地域の懐の深さもすごく大切。」

 

長谷川「あの荒れ果てた様子や、出来の悪い野菜たちを見て、地域の人が何か言いたくなる気持ちがすごく分かりますよ。でもそこで協力してくださるとこがすごい。」

 

長谷川「澤さんの展望は何ですか?」

 

澤「ポテンシャルを実感できたから、例えば離島・中山間地域にある学校の人たちに畑×学びの価値を少しずつ伝えていきたいし、他の団体ともコラボしながらやっていきたいな。最近、農業について書かれた新聞記事を集めるようになって、全国の取り組みを見る中で、今やっていることの可能性をすごく感じるよね。」

 

*ぼんさん(石川法泰さん:愛称は「ぼんさん」。日本農業経営大学校を卒業後、農業×教育の可能性を探るため海士町に移住。2018年1月に地元の愛知県に戻り「teranova-てらのば-」の屋号で農業に携わる。)

4月からの学習センターの様子をご報告します!(インターン村上)

 

初めまして、今年度4月より長期インターン生として活動させて頂いている村上朋映です。

私は茨城県出身で、現在宇都宮大学国際学部4年生を1年間休学しています。

 

島全体を学びの場とする海士町の教育のあり方や、学習センターにおける夢ゼミなどの取り組みに関心を抱き、また、今後のキャリアとして地元茨城県の教育のあり方を変えていきたいという思いが生まれ、そのヒントを沢山吸収すべくこの海士町に来ました。

 

期間は今年度4月から2月までという短い期間ですが、どうぞよろしくお願い致します!

 

さて、6月に入り、ジメジメした日が続く季節となりました。隠岐神社では蛍が飛び交い始たという声も聞こえ始め、夏の訪れを感じます。

 

学習センターでは新たに教務スタッフ1名(倉恒)、インターン2名(ロドリゲス、村上)を迎え、4月より新スタートをきってから早一ヶ月が立ちました。

 

まずは遅ればせながら4月の学習センターの様子を報告させて頂きます。

 

4/11(水)には、新入塾生ガイダンスが行われました。前半はスタッフ紹介や、学習センターについての説明が行われ、後半はグループに別れて新2年生による相談会が開かれました。

前半のスタッフ紹介では、学習センターのスタッフひとりひとりが簡単に自己紹介をしました。みな個性的な自己紹介で生徒からは笑いも起こり、改めて魅力的なスタッフが揃っているなと私自身も感じる機会となりました。

 

後半においては、2年生の生徒たちが大活躍でした。

 

新入生の緊張を解きほぐしつつ、学習センターのことから学校生活のこと、勉強の仕方など幅広い質問に丁寧に答えます。

見ていてスタッフのサポートが全く必要ないほど、二年生は自分のグループ内を上手く回しており、どのグループも会話が絶えることなく、新入生の不安を解消するとても有意義な時間を作り上げていました。

去年からいるスタッフからは、「先輩らしい姿は頼もしく、かっこよく見えた」といった声も。

 

振り返りの時間では、今後は前半に行われた学習センターの説明もスタッフではなく自分たち生徒がやってみたいといった声も2年生から挙がりました。

どうやったら、新入生にとって良いガイダンスとなるかを主体的に考える2年生の姿に、改めて島前高校の生徒の主体性の高さを感じます。

 

 

 

4/23(月)2年生の夢ゼミが、それぞれのゼミに分かれていよいよスタートしました。

 

今年度は、表現ゼミ、福祉ゼミ、五感開放ゼミ、グローバルin島前、ARVRゼミ、知夫探求ゼミ、そして生徒たちのオリジナルゼミに分かれています。

2年夢ゼミは、例年同様学習センター外の方にも講師としてお招きしてゼミが行われています。今年度も色々なフィールドで活躍されている方々をどんどん巻き込んで、学びあふれる活発なゼミ活動が行われことに期待です!

 

それぞれのゼミに分かれて初めての授業であるこの日は、それぞれのゼミがこれからどんなことをしたいかを出し合ったり、今後のスケジュールを立てたり・・・。

 

表現ゼミでは早速テーマを決めて絵や色を使って表現していました。

昨年度はそれぞれのゼミが別々の部屋で活動していましたが、今年度はあえて同じ空間の中で進めていく形をとってみることに。

 

するとゼミを超えたやりとりが生まれ、他のゼミからヒントを貰っている姿が印象的でした。

 

より活動の幅が広がっていきそうな感じで、今後の取り組みが楽しみです!

 

GW明けからは中間テスト前ということで、学習センターもテストシフトに入りました。授業はなく、生徒はそれぞれが自分で自習形態を選んでテスト勉強に励みます。

個人で黙々と学習を進める生徒もいれば、お互いに学び合いをしながら学習をする生徒も。

眠気と戦いながら勉強に励む生徒の姿はなんだか自分の高校時代を思い出し、懐かしさを感じました。

 

さて、今週からは期末テスト期間に入ります。

1年生は4月当初の顔と比べると緊張がなくなり、学習センターの活用にも慣れてきたような様子。2年生はどこか先輩らしく頼もしい顔つきに、そして3年生は進路選択を控えてどこか不安を抱えつつも、目の前のやるべきことに集中しているような様子です。

 

今年度もスタッフ一同気を引き締めて、生徒の学びのサポートに励んでいきます!

 

高2じぶん夢ゼミ、始まっています!(インターン熊谷)

インターンの熊谷です。

12月より、高校2年生は「じぶん夢ゼミ」が始まりました。
1年生の夢ゼミとは違い、2年生はとことんまで自分を掘り下げることに重きを置いています。
過去の自分に向き合い、未来の自分を想像していく。
この夢ゼミの中で自分の将来やりたいことが見つからなくてもいいから、これから先立ち止まった時、自分を掘り下げるということをこの授業を受けた経験を基にできるようになってほしい。

そんな想いが込められた授業です。

そして3月までのゴールは、「自分が大事にしたい____」を言葉で表現することです。

 

今回のブログでは、金曜クラスの第4回目の様子をレポートします。

この日は、

“5人の島の大人たちに質問してみよう!”

ということで5人のゲストをお招きしました。
お忙しい中ご協力くださいました皆様、誠にありがとうございました。

まずは1人目
勇木(ゆうき)さん
2008年より海士町にて「隠岐窯」を構え、陶芸家として制作を続けてらっしゃいます。

2人目
藤富(ふじとみ)さん
2017年9月に海士町へ移住してきて現在4ヶ月目。
職業は介護福祉士をされていて、お仕事の傍、島の外から海士に介護福祉士を呼びこむプロジェクトを実行しておられます。

3人目
中川(なかがわ)さん
海士町生まれ海士町育ち。職業は作業療法士。

本土の病院を経験されてから、今年Uターンされました。
普段は海士に加えお隣の島、西ノ島と島をまたいでお仕事をしています。

4人目
芦原(あしはら)さん
海士町観光協会で働いている方です。
大学卒業後、新卒でこちらにきて今年で4年目。

5人目
増谷(ますたに)さん
海士町生まれ海士町育ち。島前神楽の継承を志し、島で暮らし続けています。
島前高校出身で、生徒たちの先輩にあたります。

島で生まれた人もいれば、Iターンの人もいる。
医療系の方もいれば観光系の方もいる。
自分の将来について真剣に考え始める高校2年生の今。
2時間半という長いようで短い時間。
その時間の使い方は彼らの自由。

まずは自分たちが話を聞きたいと思った人たちの周りに集まります。
1人の人から話を聞ける時間は30分。
自然とメモを取る手が走る生徒たち。

前回の授業では「相手を知る」ということを学びました。
学んだことを生かしてビシバシと鋭い質問をしていました。

 

相手が大人でも臆せず真剣な眼差しで話を聞きます。

高校生が真剣だからこそ大人たちも熱が入ります。
気づいたらゲストの方のペットボトルの水がどんどん減って行く。

そして1人目が終了。
休憩タイムに入っても大人のそばを離れない高校生たち。
どんないい話が聞けたのかな?

そして2人目がスタート。
また思い思いに自分たちの話を聞きたい人の周りへ集まり出します。
恥ずかしながら私、熊谷も話をしました。

僕と出会ってまだ1週間の高校生たち。
彼らの真剣な目に話していて本当に緊張しました笑

そんな彼らと話す中で気をつけたのが以下の3点です。

「自分の言葉で喋る」
「ありのままの自分を話す」
「自分を飾らない」

将来について真剣に悩んでいる彼らが相手だからこそ、僕も自分の過去、今についてありのままに話すことができました。

早いもので時間はあっという間に過ぎ授業も終わり。
いつものように振り返りへ。

どんなことを書くんだろう?
どんなことを思ったんだろう?

彼らの振り返りシートを見てびっくり。

いつもに比べて感想を書いてる量がとても多い!

5人の大人の話を聞いたことで、彼らの中でとても大きな気づきがあり、これから将来について考える大きなきっかけになったというコメントが多くみられました。

そして、彼らだけじゃなくて、お話しさせてもらった僕自身も、

改めて自分の人生を振り返るきっかけになったように思いました。

 

「対話を通した学び」この大事さを再確認した1日でした。

「過去が現在を作り、現在が未来を作る」。

彼らのこれからが本当に楽しみです。

 

インターン熊谷

いよいよ大詰め高1夢ゼミ!(インターン熊谷)

いつも当ブログをチェックしていただき誠にありがとうございます。

入稿まで残り2週間。生徒たちがみんなで作る「島前地域の魅力的な人を紹介する雑誌作り」も終盤!!
ということで、本日は先月からこちらでインターンシップをしています、熊谷がお送りします。

まずは私個人の自己紹介ですが、今現在秋田の国際教養大学の2年生で、約2ヶ月の間、当センターでインターンをさせていただいています。キャリア教育に興味があり、当センターでの夢ゼミの授業に惹かれ、スタッフとして携わりながら私も高校生とともに自分を掘り下げて見つめ直しております。

さて、前回のブログでも紹介させていただきましたが、今現在、高校1年生の夢ゼミでは「島前地域の魅力的な人を紹介する雑誌作り」をしています。

そこで夢ゼミの特徴をピックアップ。

1、生徒が自分で授業をdesign!

2、雑誌のデザインも構成も全て生徒が決める!

3、もちろん取材する人も自分たちで決める!

この3つの特徴を頭に入れ、この日の授業を振り返ってみましょう!

この日の授業は上記の流れで進みました。
(作業内容、時間配分も生徒(雑誌の編集長)が決めています。)

まずはグループワーク①

この日は各グループごとに、自分たちでインタビューをした人たちの記事作り!
レイアウト、写真、説明、ロゴ。
それぞれのチーム毎に個性が光るデザインとなっていて、みていて本当に楽しいです。

今日はいくつかご紹介!

こちらは「医療、福祉」チーム。
医療に従事している人たちをインタビューしています。
テーマが医療ということで、心電図をイメージしたデザインを模索してるのかな???

こちらは「料理」チーム。
お皿に彼らが暮らす島前地域の形をもじったマーク、そしてインタビューをした大人たちの写真をあしらってます。
このロゴも全部生徒のオリジナル!
ケータイ使って何してるんだろう?と思っているとあっという間に素敵なロゴを作り上げます!
さすが現代っ子、パソコン、スマホ、タブレットを駆使して自分たちのcreativityやimaginationを存分に発揮しています!!

チームごとに卓を囲み、思い思いに作業に取り組んでいます。

「こうがいいんじゃない?そっちの方がいいよ!」
と皆独りよがりにならず、協力しあって1つのものを作り上げていました。

そしてある程度形になってきたところで、各チームごとにデザインのシェアタイム

編集長が声をかけるとチームの代表者が各チームのテーブルに散らばって行きます。


↑他のチームの人からフィードバックをもらう様子。

たとえダメ出しをされたとしてもムキにならず、対話を通しながらより良いものにして行きます。
学習センターに来て一番感じるのは「生徒たちが皆、本当に素直」だということ。
相手が年下でも同級生でも大人でも関係なく、積極的に話しかけてくれるし目を見て話を聞くし。島の魅力化を通して地域だけでなくそこで学ぶ子供達もキラキラした魅力溢れる子供達になっているのかなと。。。

そして周りからのフィードバックを元にグループワーク②

みんなのアドバイスを元に作業に取り組む生徒たち。

 

パソコンを使って画期的なデザインを作るチーム。

クレヨンを使って色彩溢れるロゴを作るチーム。

作業に没頭しているとあっという時間は経って行くもので作業も終わりの時間へ。。。

そして最後に今日の作業の振り返り。


その日の良かった点も良くなかった点も振り返り次に活かす。
振り返りの大事さを日々実感している生徒たちだからこそスタッフが言わずとも自分たちでその時間を設けます。
なんともたくましい。。。
これが普段から自分はできているか?と、高校生を見て自問自答する大学生インターン熊谷。
子供達から学ぶことが沢山あり毎日刺激をもらう日々です。

そんな1年生夢ゼミ、雑誌企画も残すところあと2回。
私たちスタッフ側ではなく、生徒たちが作る授業だからこそ予想がつかない展開に進むこともあります。
だからこそ彼らの学びになるし、それを見ている私たちも学ぶ日々です。

次回はどんな授業になるんだろう?
どんなものが出来上がるんだろう?
ほんと楽しみです。
みんな頑張れ。

 

インターン熊谷

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